フィンランドの建築『アルヴァ・アアルト』もうひとつの自然【展覧会情報】
こんにちは。
ceramicsstarです。
先回『フィンランドデザイン』とカイ・フランクのことを書きました。
フィンランド続きということで、今回はアルヴァ・アアルトの回顧展を中心にご紹介します。
2018年9月から2019年6月にかけて、神奈川・葉山、名古屋、東京、青森の4都市を回りました。
わたしは今回の展示は『東京ステーションギャラリー』で鑑賞しました。
オリジナルの建築図面(本物)や家具(実際に座れました)、照明器具、ガラス器、建築模型など約300点程度がテーマ別に展示されていました。
森、湖、樹木など、自然物の豊かなお国柄を伺える爽やかな展覧会でした。
■展示概要
オリジナルドローイング[約50点]
模型[約15点]
家具・照明・ガラス製品などのプロダクト[約50点]
壁面タイル・ドアノブ・家具などの部材サンプル[約30点]
冊子・写真・映像等の資料[約80点]
ドイツの写真家アルミン・リンケによる撮り下ろし写真[約60点]
―計約300点の作品を8つの章に分けて展示しています。
詳細情報が写真付きで唯一公開されているのは『葉山美術館の公式サイト』
フィンランドの国民的建築家 アルヴァ・アアルト(1898-1976)はデザイナーでもあります。機能優先の合理的なモダニズムの中に人間の生理的な部分に配慮してすべての人々のより良い暮らしを目指して建築を追求していきました。
建材、照明器具、家具、ドアノブや花器に至るインテリアに関わる細部までこだわりがみられます。空間の調和とバランスを考えた住環境は、人間にとっての「もうひとつの自然」でもあるようです。
■展覧会の個人的&独断的ポイント
建築の素敵な理想的な考え方
『パイミオサナトリウム』の設計ポリシーは見習うべき点が多いですね。
この設計の中で使われたものは、結核患者や医療従事者などあらゆる利用者を想定して考え作って設計したらしい。先に書いたドアノブ、照明器具、洗面器もオリジナルで作った特注?別注?商品だそうです。 サナトリウムでの食堂での『換気』医療従事者のドアノブ『非接触』患者を考えた十分な明るい『採光』が1933年の段階ですでに配慮されてるって素晴らしい。
コロナ感染で騒がれている現在の先読みですね。
『プロダクトデザイン』は有機的かつ機能的
彼が建築空間に採用したアームチェアやスツールなどの家具、『サヴォイ・ベース』に代表される有機的な形態をもつガラスの花器などのプロダクトデザインは、現在もなおフィンランドを代表するデザインとして親しまれています。曲線を利用しつつ木を積層して曲げる技術による家具はコストや機能について詳細に考えられています。
■『アルヴァ・アアルト』の曲木の技法
アルヴァ・アアルトは『L-レッグ』と言うスタンダード商品を開発。スツール、ベンチ、テーブルなど数多くの家具に展開させました。更にそのコンセプトをもとに『Y-レッグ』、『Xレッグ』へ発展。積層合板を使った曲木の実験から柔軟性と強度がスチールにも相当する『ラメラ曲げ木』の技法も生み出しました。
『スツール60』もその曲木の技法でつくられたもののひとつ。
断面と積層の枚数を見ると強度はかなりありそうです。
個人的には建物に使用した『内壁および外壁用のタイル 釉薬をかけた陶』が貴重な展示物で興味をもちました。写真では紹介できないのですが、特徴は下記のようなことです。
・『厚めに掛けた不透明なタルクマットの様なマットな釉薬』
・『かまぼこ型の比較的大きめのレリーフボーダータイル』
・『色は淡いグレー、白など』
その他
『サヴォイ・ベース』に代表される有機的な形態をもつガラスの花器
*写真は撮影が可能なのもを掲載
サントリー美術館で開催された『森と湖の国 フィンランドデザイン展』より
『アルミン・リンケ』の建築写真
この展覧会のもうひとつの別の観点でのよさはドイツの写真家、『アルミン・リンケ』によるアアルト建築のアーティスティックな写真や、ニューヨーク万国博覧会場のCGによる再現をはじめ、豊富な写真や映像でアアルトのデザインを解説・紹介しています。
この写真が全体に淡いトーンの醸し出し静謐で上質な空間を演出しています。『アルヴァ・アアルト』の周囲の景色や建物外観、インテリアの内部空間などの空気感を感じることができます。
『アルヴァ・アアルト』の家具とインテリア
『アルヴァ・アアルト』のワゴン
『アルヴァ・アアルト』の『魅力』をまとめると
今の時代と違い商品のカタログなどはほとんどないと思われる時代、表層の建具、照明器具、洗面器を提供するメーカーもなかったはず、では建築家は実現したい設計・デザイン・コンセプトと言った意図をどうするか? アルヴァ・アアルトは建物の建築、インテリア、建材、機器、建具、金物にいたるまですべて創作して検証する探究心ですね。
『Alvar Aalto Foundation』
おすすめの本はこちら
『アルヴァ・アールトの建築 エレメント&ディテール』
『アルヴァ・アアルト:もうひとつの自然』
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