スウェーデンのデザイナー『インゲヤード・ローマン』ものづくりのこころ【展覧会情報】
こんにちは。
ceramicsstarです。
フィンランドのアルヴァ・アアルトとカイ・フランクのことを書きました。
今回は北欧スウェーデンを代表する陶芸家、デザイナーの『インゲヤード・ローマン』をご紹介します。
2018年9月14日から2018年12月に『東京近代美術館工芸館』での展覧会を鑑賞しました。訪れた季節は初冬の午後夕方に近い遅い時間です。これが思わぬベストタイミングでした。理由は後ほど文中に書かせていただきます。彼女の初期のものから日本でよく見かける商品までガラス器、陶磁器など約180点がテーマ別に展示されていました。建築家と共同で森、樹木、水など、自然を感じさせる展示などもあり、彼女の世界観で溢れた展示空間でした。
詳細情報が公開されているのは『東京都近代美術館工芸館』で開催された概要
https://www.momat.go.jp/ge/wp-content/uploads/sites/2/2015/01/MOMAT_ingegerdraman_201807.pdf
『インゲヤード・ローマン』
スウェーデンを代表するデザイナーであり陶芸家でもある インゲヤード・ローマンは1943年ストックホルムに生まれました。1995年にスウェーデン政府からProfessorの称号を授与され、スウェーデン国内で最も知名度の高いデザイナーです。
日常使いのガラス食器や陶磁器は大変シンプルでモノクロや無色透明なものが多く機能性を重要視しています。すべての人々がより使いやすいことはもちろん、その凛とした美しい佇まいは作り手側の姿勢を伺うことができます。食器が使われる状況や室内空間に与える印象などを細部にいたるまで追求しています。インゲヤード・ローマンは日本を含む世界各国のメーカーにデザインを提供しており、スウェーデン国立美術館にも収蔵されています。嬉しいことにIKEAの扱う商品は日本でもリーズナブルに購入することができます。また日本との関わりも深く、九州の伝統工芸品である有田焼、木村硝子などとの共同での商品開発などを進めました。81年デザイナーとして活動したスウェーデン王室御用達のブランドSkruf社のBELLMAN JUGなどのベルマンシリーズ、99年より活動したOrreforsでのコレクションはPond,Slowfox、Zvizz、Jazz meなどがあります。Brännland Cider社のSKRUF La Pomme シードルグラス8があります。
■展覧会の個人的&独断的ポイント
理想的な空間での展示
今回、通常の美術品や作品の暗い室内での展示はやめて、彼女は自然光の中で作品や商品を展示することにこだわったとのことです。 日常生活の中で使う商品がプロダクト製品と言われます。ある種の演出された特定な空間ではなく、展示室の窓のカーテンを開けてほしいと美術館側にお願いしたそうです。自然光の入る住宅の中で自分がデザインしたグラスや陶器を使う時に近い環境で作品を見てもらいたい。これは彼女がデザインしたものは決して特別なものではないと言う『ものづくり』の真摯な姿勢を伺い知ることができます。
(写真左は美術館の許可を得て撮影)
■Skruf社のBELLMAN JUG(写真左側のジャグ)
自然光が差し込むことによりガラスの陰影がテーブルに映り込んで夕方の食卓を思わせる展示空間。
■Brännland Cider社のSKRUF La Pomme シードルグラス(写真左はインゲヤード・ローマン)
『プロダクトデザイン』は日本のデザインの好みや素材にも合う
有田のやきもの歴史は約400年と古く、長きの時代を経て『ものづくりのこころ』は現代に受け継がれています。「2016/ project」に参加するため、インゲヤード・ローマンは有田へ二度目の来訪しています。2015年10月に講演会とインゲヤードにとって初の試みとなるワークショップが伊万里で行われました。2016年には400年という節目の年に、世界に散らばる16組の優れたデザイナーと共に、新しい陶磁器ブランド『2016/』が誕生しました。このシリーズはこの時にインゲヤード・ローマンと有田の職人との協力によって生まれたメイドインジャパン商品『ティー・サービス・セット』です。有田で300年の歴史をもつ老舗の名窯『香蘭社』で製造されたものです。
ティーポットは特徴的な注ぎ口と底が広い存在感のあるボディバランスが魅力的です。ポットの上にカップを置くことができ、カップを温めることができます。
■『インゲヤード・ローマン』の木村硝子のコラボレーション
インゲヤード・ローマン COLLECTION
インゲヤード・ローマンによる全11種のデザインシリーズ。彼女が大切にする「水」を意識したラインナップです。これが各種セットでガラス器を重ねると蓮の花の様な美しい佇まいをみせてくれます。
『スタイル』に拘らず自身の個性を出す
『インゲヤード・ローマン』 自身の手による作品のほか、ガラスメーカー・Skruf(スクルフ)社やOrrefors(オレフォス)社、IKEA(イケア)社など多くの国際的なブランド企業と協業しており、全く異なる販売価格設定の商品に対応した幅広いディレクション活動を展開しています。陶器は自身も手を動かす職人的な陶芸家であることから自ら実践することで各メーカーの得意としている技術を生かすことができるのではと思います。
61年にイギリスに留学。62年のスウェーデン国立美術工芸デザイン大学コンストファック在学中にイタリアで陶芸を学ぶ。卒業後、ガラスメーカー「ヨハンスフォース」に絵付け師として在籍しています。
『インゲヤード・ローマン』の『魅力』をまとめると
装飾は無くしたシンプルなデザイン。先ほどの東京国立近代美術館工芸館にみられるように例えばガラス器であれば自然光を通しての器の影や映り込み、飲み物特に透明な水が入った状態での美しさを追求しています。
収納やスタッキングの美しさ。現在残念ながら廃番になったIKEAの商品や木村硝子の商品に見られるように器が重なることで別の花が咲き開いたイメージを彷彿させる造形力と美しさ。この美しさは工業デザインを超える美意識が感じられます。
■インゲヤード・ローマンの手軽に買えるリーズナブルな商品
『IKEA』グラス DYRGRIP/デュルグリープ シリーズ
インテリアを楽しむための商品が多数あります。
■キャンドル皿
■デコレーションボックスなど。
おすすめの商品はこちら
木村硝子店 THE SET SET 15631 プレート ボール ワイングラス タンブラー
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