【応募する方必見】手のひらの自然 京菓子展 2019 の公募に入選したときのおはなし。【公募レポート】
こんにちは。
ceramicsstarです。
2019年に『京菓子展 2019 手のひらの自然 − 万葉集』のデザイン公募があり、京菓子のデザインを考え応募をしました。とても嬉しいことに19点の入選作品に選ばれました。
この企画は毎年、京都市や京都市観光協会も共済している京都の文化を広めるための公募展でもあります。
今年の開催は難しいかと思いきやホームページを覗いてみると2020年も開催されるとのことで昨年の応募のことを少し書いてみます。
この公募展は実作部門とデザイン部門があり、京菓子を実際に作る職人さんは実作部門を私のように京菓子を作れない方はデザイン部門に応募します。
もちろん実際に制作して応募もできますよ。
今回は『京菓子展 2019 手のひらの自然 − 万葉集』の時に感じた事をお伝えします。
幅広く公募した京菓子作品の中から、選りすぐりの創作菓子を実作して作品を展示します。会場では、呈茶のために選ばれた作品を抹茶とともに食べることができます。
2020年公募内容はこちらからです。(応募期間:2020 年 6 月 20 日(土)~ 8 月 31 日(月)必着)
京菓子展 2020 手のひらの自然 − 禅 ZEN 公募ページ
申込用紙をPDFデータでダウンロードできます。
募集要項はここから
**写真は展覧会で個人的に撮影が可能だったものに限り投稿しました。**
『万葉集』から歌を選ぶ
年号が新しく『令和』を迎えたこともありそれにちなんで公募テーマは『万葉集』の歌を選んでそれをテーマに京菓子を考えるというものです。
そこには銘のような作品タイトルを添えて応募します。
最初スケッチからとりあえず始めて少しづつ全方位型で進めるかと、『万葉集』についての本から調べて、和菓子をみてみたり食べたりしていました。
実際に『万葉集』は皇族、貴族から民衆まで広く詠まれた和歌集として有名なので現代人が見ても非常にわかりやすく胸を打つものが多くあります。
ポイントはその時の時代の状況を読み解くこと。今の時代の様に人々は全校津々浦々気軽に移動は叶いません。新幹線など長距離移動手段、スマートフォン、インターネットもない。
■要点は3点
・別れを告げたらいつ会えるか、また生きて会える保証はない。
・男性と女性の間は時間も距離も果てしなく遠い(気軽にいつでも会えない)
・季節、自然や事象を歌に詠み気持ちを伝える。
『万葉集』は日本人の深い情感や繊細さ美しさ満載で短い言葉を選びつくした完成度の高いメッセージです。最初に歌を徹底的に詠んで一番自分の心の叫びと感じるものを数点選び精査してきました。
『デザインスケッチ』
デザインのスケッチをたくさん描いてイメージを固めます。
『万葉集』は言葉のマジック
■選んだ歌
『小竹(ささ)の葉は、み山もさやにさやげども、われは妹(いも)思ふ、別れ来ぬれば』
■意味
ささの葉が風にそよいでざわざわと鳴っていても、私はあの人のことを思ってやみません、別れて来たあの人のことを。
■解釈
『別れてきたひとを想いをこころがざわめく気持ちをささの葉のゆれにみたてた』 心情を詠んだ『柿本人麻呂』の歌です。
まぁ。。赴任先の石見の国から大和へ戻る際に石見の現地妻を思って詠んだ一首ですけれどね。
いやあ 文脈と音にけっこう心うたれました。
■ 銘
『惜別の泪』
■作品コンセプト
夜も明け始めた中の朧月夜。そのその中を足早に歩みをすすめる姿をイメージしています。朝露がささの葉の上に丸く浮かんでいる様子を京菓子にしたためました。
泪はまた長い時間別々に暮らしていかなくてはならない心情を表現しました。
そして入選作品の連絡の後は実際に京菓子職人さんが実作して受賞審査が行われます。
京菓子は白く薄い青をほのかに感じさせた山の芋 薯蕷(じょうよ)饅頭に
朝露と泪にみたてた透明な葛を乗せたものです。
『惜別の泪』2019年
薯蕷(じょうよ)饅頭では笹の葉を巻いた表現も出していただきました。。。
『万葉集』をテーマにしてデザイン公募してみて
『万葉集』は日本で最古の和歌集と言われるだけあって非常に奥が深い。
歌を詠んで情景や心情をかたちにイメージできる人には最高の材料です。
【良かったこと】
・全く知らない違う分野の世界を知り得たこと
・器と和菓子の関係性やバランス(和菓子の平均重量は50g)
・小さなものに心情、感傷そして大きな世界観を投影する
次回に続きます。
受賞者の本音と、会場風景の入賞入選の京菓子を紹介しますのでお楽しみに。
ceramicsstarでした。
下記サイトでオリジナル商品を販売しています。
よろしくお願いいたします。
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