太宰治をCGアニメーションでみる
こんにちは。
ceramicsstarです。
最近のNHKのドラマは秀悦です。今回は現在も人気で自我を意識する思春期の青少年は必ず通るとも言われる文豪『太宰治』。そんな太宰の短編集の少し風変わりなドラマ。彼の小説は映画化されたりドラマ化されたりしていますね。
太宰治の『短編小説集』
NHKBS2で太宰治生誕100年を記念して企画された「土曜ドラマ」枠で2009年10月12日~2010年9月29日3回のシリーズで全10作が放送されました。この中から2作。誰もがご存じの『走れメロス』とそして『畜犬談』。
この朗読ドラマは1話づつがさまざまな演出で制作されていて、いままであまり見たことのスタイルで非常にユニークなものです。
このドラマの良さのポイントを書きます。
【主に出演する人々】
森山未來、田中泯、香川照之、満島ひかり、田畑智子、山下リオなど。その他に演出家:野田秀樹、映画監督:西川美和など 各分野で活躍する人々。視聴者の感覚に訴えるユニークな脚本です。
この短編小説集のドラマの魅力
あらためて太宰。『人間の愚かさや葛藤』を考えさせる
取り上げたのは義務教育の道徳の時間に朗読した『走れメロス』名言がいくつかありますよね。やはり感動の場面は暴君ディオニソスの『おまえらはわしに勝ったのだ。真実とは決して空虚な妄想ではなかったのだ』や『信じているから走るんだ』これ当時思春期だから、こころに残り今でも覚えています。
しかしながら現在はやはり見方がことなりますね。葛藤の台詞『おまえを信じたばかりに、やがて殺されなければならぬ。正義だの信実だの愛だの考えてみればくだらない。人を殺して自分が生きる。それが人間世界の定法ではなかったか。わたしは酷い裏切り者だ。』ここですね。
各回のユニークな演出方法
『走れメロス』CG+実写
メロス:森山未來
立ち姿:田中泯
朗読:田中泯
メロス扮する『森山未來』が友人の為に刑場に向かい帰路を疾走します。
講談師が語る中、『森山未來』が尾形光琳の襖の障壁画の中を疾走するシーンは『燕子花図(かきつばたず)屏風』『紅白梅図屏風』のCG合成のアニメーションで襖が左右に複雑に開閉する動きが疾走感や心の焦りを表現して面白い。
廊下の山賊が表れるシーンや走る必死な姿やダンサー『森山未來』の一面もしっかり取り入れ、得意のダンスシーンも披露します。
途中葛藤して休息するシーンでは『酒井抱一』の『夏秋草図屏風』が。
また途中河を渡るシーンでは『葛飾北斎』の『富岳三六景 神奈川沖浪裏』が背景に出て動き回ります。
『畜犬談』 CGアニメーション
朗読:斉木茂
アニメーション:woodpecker
やはり朗読の中、全編人形とイラストによる『woodpecker』のアニメーションで展開していきます。このやや陰鬱な平面的な絵と立体的な人形の動きの対比が良い感じですね。
犬を恐ろしい対象としてる主人公の作家とその妻は人形、犬たちはイラストで表現しています。恐怖心から犬を罵倒して『畜生』呼ばわりする主人公の作家。犬に対する差別感と嫌悪感が満載です。
また当時街並みには野良犬が多くいたのでしょうね。
ある日この酷い嫌いな自分に対して一匹の胴長の野良犬に好かれてしまい飼うことに。
最初は嫌いだった犬に対してもいつしか愛情が生まれてきました。
しかしながら人間はやはり残酷。
三鷹村へ引っ越しするので連れていけないからと言って皮膚病に掛かった犬を疎ましくなり拾った場所に捨てようとしたり、毒で殺めたりしようとします。
三鷹村に引っ越しと言っていますのでこれは『太宰治』本人か??
この辺りが人間の醜さや身勝手さを書いています。
『woodpecker』のアニメーション作品
FORESTRY | 審査委員会推薦作品 | アニメーション部門 | 第13回 2009年 | 文化庁メディア芸術祭 歴代受賞作品
最後に
劇中でも紹介されますが太宰治のテーマとした『人間の愚かさ、弱さや葛藤』をドラマや映画の様に演じる役者主体に捉えず、別のかたちで表現する手法はユニークで秀悦でした。
因みに『走れメロス』は【公社】映像文化製作者連盟が主催する「映文連アワード2010」の2010年の優秀作品賞(準グランプリ)に選ばれています。
このようなドラマで現代の作家の作品を紹介して、あらためて本の魅力が伝わり、読者層が広がるとよいですね。
ceramicsstarでした。
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