【映画】『約束』萩原健一・岸恵子の不安定さと冬景色
こんにちは。
ceramicsstarです。
1970年代映画『約束』は1972年の斎藤耕一監督による作品。
萩原健一と岸恵子のあまりにも偶然の出会い。
でも結局それは悲しい別れでしかない。
そのことがわかっているからこそ、一時の心を通わせようとする話です。
約束
作品情報
公開年度 1972年
監督 斎藤耕一
出演
松宮蛍子(岸恵子)
中原朗(萩原健一)
島本房枝(南美江)
護送犯(中山仁)
刑事(三國連太郎)
電車の中で出会う二人は似た運命を背負っていた
日本海を走る列車の中で、偶然向かい合わせに座った若い男(萩原健一)と年上の女(岸恵子)。男は車内でしつこいくらいに女に話しかける。だけど女はほとんど無反応。しかも女は、隣の年配の女(南美江)と連れのようなのに、言葉を交わすわけでもない。
しかし、長い道中、やがてぽつりぽつりと男の言葉に女は反応するようになる。
偶然同じ駅で降りた二人。女は墓参りに来たというが実は受刑者で仮出所中の身であることがわかります。
男は女を追って、女が収監されている刑務所まで彼女を見送り、女が出所する2年後にまた会おうと約束を交わす。でもその春が訪れて約束の場所に男は現れない。
それは女が刑務所に戻ってすぐ男は逮捕されたためなのだが、女は男が現れない理由を知らない。
おそらく女は待ち続けても、男を探すことはないであろうこと。男は女を探すことはできないので、約束が果たされることは、この先もないことが窺える。
結果的に果たされることのない約束を交わした二人。絶望しているからこそ、言葉の温もりを求めていたのでしょう。
フランス映画のような展開と
物悲しい日本海の景色と、犯罪者には見えない垢抜けた女の組み合わせは、フランス映画の悲劇のようでもありました。
構図がとても美しいのと、寂れた街並みがこの二人が降り立つと、冬のヨーロッパの地方のどこかのようにも感じられてしまったり。
また、この暗いトーンの映画の中で、食べ物が現実的な温もりを与えているのが印象的。
男が女たちに手渡す弁当。陶器でできている横川の『峠の釜飯』のようなもので、萩原健一はそれをやたらと美味しそうに食べている。
また別れ際、刑務所の門の向かいにある屋台のラーメン屋で、ラーメンを食するのだが、普通の中華麺のようなラーメンがやたらとそそられるのが不思議でした。
萩原健一さんは昨年の3月26日に68歳で亡くなりました。
映画「約束」で大阪入りした女優の岸恵子さんと萩原健一さん1972年3月の写真が産経新聞のWEB記事(2019.3.28 22:20) 下記のリンクに掲載されています。
ふたりのとても良い表情の写真です。
「ショーケン」萩原健一さん死去 68歳 『傷だらけの天使』 - 産経ニュース
ceramicsstarでした。
下記サイトでオリジナル商品を販売しています。
よろしくお願いいたします。
ランキングはじめました!